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学部長就任のご挨拶

昭和大学歯学部長 槇 宏太郎

 

平成31年4月1日より、昭和大学歯学部長を拝命致しました。

ここに改めて同窓生の皆様にご挨拶申し上げます。

 

私は、昭和59年に卒業して以降、三十五年に渡り歯科病院で診療中心の生活でした。そのため、正直に申しますと、学部長への推薦を頂いて以降も、学生教育や学部運営をどのように考えるべきか、とても困惑した日々を過ごしておりました。

しかし、3月に始まった学生面談や4月の富士吉田における新入生オリエンテーション、新4年生の講義、などを経て、少しずつではありますが、目指すべき方向が定まって来たように思います。

歯学部の学生や教職員にとって最も大切なことは、『楽しく学ぶ』ということと、自分たちが生業とする歯科医療や歯科医学への『誇りと自信』を持ってもらうことであろうと考えます。

まずは、在校生や卒業生の皆様から、現在の教育体制や診療システムに関する意見を詳しく聴取させて頂き、歯学部が抱える現状の問題点を抽出したいと考えております。その上で、改善すべき点は早期に修正させて頂きます。

とくに、学部教育においては、学生が知的好奇心を湧き上がらせながら、いつの間にか覚えてしまう。そのような講義や実習を増やさなければならないと感じております。面白みを感じ得ない、単なる暗記作業ほど時間を浪費するものはありません。その改善のためには、我々自身が使命感と創造力を持って教育方法を転換する必要があります。教育ばかりではなく研究や診療においても同様です。今まで以上に、新たな技術の開発や未知の発見を推進したいと考えております。

また、現在、社会では、歯科医療を取り巻く経済環境の悪化ばかりが喧伝されております。しかし、私は、将来的には、様々な場面において歯科医療の重要性がさらに増すものと考えております。その理由は、歯科医師需給問題の改善もさることながら、免疫や脳機能の研究において、口腔と全身との関連性がさらに明らかになるであろうこと、そして、口腔内から得られる生体情報が他の医療でも活用されるようになる可能性が高いこと、などが挙げられます。学生とこのような夢を語りながら、誇りと自信を持ってもらいたいと思います。

さらに、臨床や研究においては、従来の「こんなに上手く出来ました」的な発表や報告ばかりではなく、真摯に従来の臨床手技や研究方法における問題点を開示し、その解決のためには何をすべきかを考えなければなりません。今までの歯科医学には無かった、『失敗学』の考え方を取り入れる時代になっているものと思わ

れます。同窓生の皆様にも、是非、機会があれば、実際にはこういう点に困っている、こんな失敗をしたが何とかリカバリー出来た、というような講義を学生に与えて頂ければ幸いです。

また、歯科病院における診療の収支改善への取り組みは、教育上も必要不可欠です。大学の歯科診療は赤字が当たり前という思い込みでは、教育の根本が揺らいでしまいます。全診療科がお互いをカバーし合い、共に前進出来るように、馬場歯科病院長のもとで強いチームワークを結集したいと思います。

 

私に学部長として与えられた時間は多くありません。おそらくは、打ち上げられたロケットが途中で軌道修正するための姿勢制御用の「プシュッ」という短い噴射ぐらいでしょう。しかし、手元でたった1度の変化であっても、何万キロも先では到達点が全く異なる場所になります。その点を厳しく心して励みたいと思います。

 

同窓生の皆様に、より一層のご指導とご鞭撻を賜りますよう、心よりお願い申し上げ、ご挨拶とさせていただきます。

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