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書籍紹介

19回生 齋藤真由 先生(旧姓:森田)
(昭和大学歯学部口腔リハビリテーション科 非常勤医師)
が書籍を出版されました。
(秀和システム 1540円)
 
https://www.shuwasystem.co.jp/book/9784798060330.html
 
下記抄録を掲載いたしますので、ご興味のある先生はご購読くださるようお願いいたします。
 
 

『気づきの摂食嚥下と口腔ケア
「たべる」をささえるケアの気づきとレシピのヒント』

 

摂食嚥下障害といっても、その原因は様々あります。その原因を突き止める1つの手段として嚥下画像検査がありますが、画像検査は情報が多く、有用ではありますが「その日」の「その時」の「その検査食」での結果であり、患者さんにとって食べるという行為の中の一部分の評価です。食べるということは、生活の一部ですので、食べる時の不具合を見るにはその患者さんの全体像を見る必要があると考えています。
例えば「ご高齢でお茶を飲むときむせてしまいます」という訴えがあったとします。「それではとろみをつけましょう」という結論を出す前に、きちんと目が覚めていたか?寝た姿勢で飲んでいなかったか?吸い飲みは使っていなかったか?お茶を飲むときはいつもむせるのか?口の動きはどうか?パーキンソン病など全身的な疾患はないか?血圧の薬は飲んでいないか?・・・など、まずは患者さんの全体像をみて、周囲の方の話を聞いて、お茶でむせる原因を考えてから検査内容や方針を考えていきます。その結果、飲み方などに気をつければ特にとろみをつける必要はないこともあります。
ご高齢の患者さんは「とろみのついたお茶」よりも「普通のお茶」のように、これまで長年食べ慣れたものを食べたいと望みます。原因を探り、その望みが叶うかどうかは、診察者の持っている引き出しから、いかに不具合をもたらす原因に気づけるかが大きな鍵を握っています。
本書は、口腔や咽頭機能だけに注目した摂食嚥下の教科書ではありません。口の中の状態だけでなく、患者さんの全身状態や生活背景を見て、広い視野で「食」をとらえることで、食べられない苦しみを抱えた患者さんやその家族が安心して過ごせる方法を提案することをコンセプトとしています。中では、患者さんを見て気づくための観察方法やケアの実践方法、コツなどを、これまでの報告や経験からお伝えしています。
私は栄養士の資格を取得してから歯科医師となりましたので、本書ではその患者さんにとって食べやすい食事とはどんなものなのか?どうしたら食べやすくなるのか?といった食べ物の性質と口腔機能の関連、食事形態の考え方や工夫の仕方など、食事や栄養のことについても多く解説いたしました。
そのほか、その患者さんの病態によって異なる食事介助の工夫、安全と食べやすさを考慮した姿勢調整などの食事環境のこと、食べることに必要な全身体操や咀嚼訓練などリハビリテーションのこと、口腔内と全身の関連や口腔ケアのことなど、歯科医師、歯科医衛生士の歯科医療従事者だけでなく摂食・嚥下障害看護認定看護師・脳卒中リハビリテーション看護認定看護師・理学療法士などの他職種の視点も取り入れ、臨床で直面することの多い悩みや疑問に対する答えを網羅しました。
近年は診療所に来院できるような比較的元気な患者さんだけでなく、在宅や介護老人福祉施設などの要介護高齢者に接する機会も増えています。本書では、イラストを多用して観察ポイントや様々なコツを説明し、摂食嚥下障害の診断や患者さんに応じたオーダーメードケアが立案出来るようなヒントをたくさん盛り込みました。口の専門家としての知識を深めるためにも、ぜひ本書をご一読いただければ幸いです。

 

自己紹介 19回生 齋藤真由(旧姓:森田)
(昭和大学歯学部口腔リハビリテーション科 非常勤医師)

 
女子栄養大学短期大学部を卒業後、昭和大学歯学部に入学(19回生)卒後は第一口腔外科の大学院(顎顔面外科学専攻)で摂食嚥下障害と食品物性の研究で学位を取得しました。大学院卒業後はお茶の水女子大学の調理学研究室に在籍、(株)味の素奨学生として咀嚼と食品物性についての研究をしてきました。
これまで、急性期病院、リハビリテーション病院、在宅や介護老人福祉施設、障害者施設などあらゆる場面で摂食嚥下障害患者さんを診ています。
現在は、東京都保健医療公社荏原病院歯科口腔外科で口腔・嚥下ケアチームを立ち上げ、主に入院患者さんの摂食嚥下障害に対して多職種によるチーム回診で患者さんの診断・ケアにあたっています。

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